行財政改革と公民連携~民間登用と情報公開について
徳永:会派で北九州市に視察に行ってまいりました。令和5年2月に市長が替わり、翌月には官民合同準備チームが発足したのを私も注視しておりました。行財政改革は、今後の人口減少と歳入減を見据え、市民ニーズや社会経済情勢の変化への対応やDXの推進、公民連携といった全国的にも同様の課題を抱えています。
佐倉市も、これまでマイナスシーリングや業務の棚卸しを経て、業務の簡素化、委託化、ICTによる代替等を検討する流れになっていると思いますが、8月議会の総務部長のご答弁で、正規職員が行っている業務の中から会計年度任用職員に振り分けられるものを分類し、会計年度任用職員を配置することでコスト削減効果を期待する旨のお話もありました。業務の簡素化や会計年度任用職員の配置に重きを置き過ぎると、コスト削減にだけ焦点が当たり過ぎているようにも感じます。その点、課題となる点はないか。
総務部長:事務事業の見直しにつきましては、コストの削減のみを追求するのではなく、電子申請の利用促進による市民サービスの向上やICTの活用による生産性の向上にも注力し、取り組んでおりますことから、行政改革の推進と併せ、その意義、目的につきましても周知してまいりたい。
徳永:誰がやれば安くできるのかではなく、各部局や担当課がこれからの時代に合った施策にどう変換していくかという視点での行政改革が必要になってくると思います。北九州市での業務の棚卸しで重要視しているのは、民間目線で運営できているかということでした。市民ニーズや社会経済情勢の変化を考え、毎年同じ事業をやっていくことに意味があるのかという視点、日常業務の点検が行財政改革につながることもあるそうです。
北九州市では、企業買収して経営改革に携わってきた方などを課長級レベルの非常勤職員として雇用しています。佐倉市も、事業レベルでの公民連携は浸透してきていると思いますが、検討段階での民間の活用も非常に有効であると思います。佐倉市は、特に人口減少が進んでいますので、今後の市政運営を考えていく上でも行財政改革への民間の登用を考えてもいい時期ではないか。
総務部長:民間人材の活用につきましては、第6次佐倉市行政改革大綱の策定に当たり設置した佐倉市行政改革懇話会において、民間企業OBや学識経験者などを登用し、ご提言をいただいております。行政改革の具体的な取組への民間人材の登用につきましては、他市の事例なども参考に今後研究してまいりたい。
徳永:各部局、そして職員一人一人が市政変革に携わり、働きやすさと働きがいを実現しながら、子供、若者への投資や産業基盤の強化、創出など、次世代への投資枠を確保していくために、各部局の中で例えば対象が共通するものを事業クラスターとして整理した上で、詳細な経営分析を行い、単に予算を削減するのではなく、質の向上のための優先順位や強化するべき施策の検討、つまり事業クラスターごとのKPIの設定やEBPMによる分析から課題整理、改革案の検証、今後の取組案の提示という流れを市政変革会議、北九州市ではX会議と名づけられていますが、年間3回ほど行われ、特徴的なのはこの会議がユーチューブで生配信され、アーカイブも視聴できるという見える化を行っているという点です。私も懇話会の傍聴だけではなく、過程の議論も聞いてみたいと思いますし、変容する市政運営に対する市民の理解度が高まり、アウトソーシングに対する企業側からのアクセスもしやすくなるメリットがありそうです。情報公開については、どのようにお考えですか。
総務部長:会議につきましては、審議会等を原則公開とし、傍聴、資料の配付、閲覧等を可能としております。映像などを活用した情報発信につきましては、議員からもございました他市の事例などを参考に研究してまいります。
徳永:過程をユーチューブで公開していることで、どこの市役所でも行われているパブリックコメントも多数のご意見が寄せられるそうで、その機能がきちんと生かされている印象を受けました。
私も以前、担当課で削減した経費は、担当課がやりたくても予算的にできない事業に振り分けられるような仕組みづくりを提案したことがありますが、北九州市の行財政改革も、各部局が民間経営の視点で事業を分析し、市政変革推進プランで定める見直しの6つの視点から改革案を出し、X会議に諮って、各部局による予算化や制度変更を行っています。
佐倉市では、シーリングや事業精査により生み出した財源は一度一般財源に入れられ、不足する予算に計上されますが、各部局の具体的な市政変革の取組が次年度の予算に効果的に連動する仕組みづくりが市民社会の新しい価値観に柔軟に対応できる財政力につながっていくのではないかと思います。