障害者の就労支援について
発達凸凹親の会を主宰している関係で、子どもたちの成長と共に障害者就労が気になり、社会に出る前に障害者雇用の土壌を広げたいと取り組んでいます。佐倉市は個人事業主が多いので難しい面もありますが、私の提案で導入された「佐倉ユニバーサルカンパニー表彰制度」が市内の障害者雇用の起爆剤になるといいのですが、インセンティブがないのでどこまできっかけに繋がるかはわかりません。せめて表彰された企業に賞金か時限的減税か、なにかしらのインセンティブにより「障害者雇用に取り組んでみよう」という企業が増えることが目的なのですが…
厚生労働省は今年1月の審議会で、民間企業に義務づけている障害者雇用率を現在の2.3%から2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%に引き上げることを決めました。0.4ポイントの引き上げは過去最高です。これに伴い障害者を雇用しなければならない企業の範囲も現在の従業員数43.5人以上から37.5人以上へと拡大されます。
障害者雇用率の対象は現在、週20時間以上勤務する障害者となっています。これを重度障害や精神障害に限り、週10時間以上20時間未満の短時間勤務者も雇用率にカウントできるようにします。これにより特に雇用の拡大が期待されるのが精神障害者です。精神障害者のなかには、働く意欲があっても状態に波があるなどの理由から勤務時間に制約がある人が多くいるからです。
障害の特性に基づき仕事の工夫や関わり方、生活リズムの整え方などを調整するジョブコーチが企業に対して事業の切り出しなど双方へのアドバイスができるような専門性を高めることも必要かもしれません。
2010年頃から貸農園を活用した障害者雇用ビジネスが始まりました。利用企業は法定雇用率を達成でき、ビジネス事業者は利益を上げられる。障害者にとっても、福祉作業所での工賃は全国平均で月約1万6千円だが、企業に雇用されれば十数万円の月給が得られ、金銭面ではメリットがあります。ただし働いて生み出した成果物が賃金につながっておらず、本当の意味での『働く』とは言えず、法定率という量は満たしていても、雇用の質は置き去りにされている。との意見もあります。
実は私の友人も貸農園の農場長として勤務したことがあるのですが「障害者はただいるだけ」とやはり働く意味について疑問を呈していました。障害者の親からしてみれば「居場所があるだけでありがたい」という方もいらっしゃいます。
厚生労働省は令和5年4月17日、「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」を発表し、望ましい取り組みについてまとめられています。実施企業は23法人、障害者の就業場所は125カ所あり、最も多いのは「農園」の91カ所で、「サテライトオフィス」が32カ所。利用企業は延べ1081社以上、就業障害者は6568人以上に上りました。001087755.pdf (mhlw.go.jp)
特例子会社は企業が障害者に特別な配慮をして安定して働けることを目的として作った子会社です。業務は親会社にもよりますが、部品の組み立てや接客、清掃、プログラミングなど様々です。
特例子会社は親会社の障害者雇用の受け皿というイメージがありますが、いまはその役割を果たしつつ、多くが利益を追求しています。そのなかで雇用の質が高い特例子会社に見られる傾向として、外部の支援機関や助成金をうまく使いながら障害者の就労能力や適性を客観的に評価し、一人一人のニーズを実現しながら企業の戦力にしています。
佐倉市には貸農園による代行ビジネスも特例子会社もあります。特例子会社の企業誘致による障害者雇用の拡充もあり得るのでしょうか。それが市民の雇用の拡充と障害への理解、さらには経済の活性化にもつながるといいのですが。印西市では、障害者雇用を希望する企業と就労を希望する障害者との面接会を始めました。産業振興部が主体となり、福祉部と連携してできることに取り組んで欲しいです。