第2回佐倉市水道料金及び下水道料金のあり方に関する懇話会
第1回の懇話会資料より
ダム事業への参画と地下水から受水への切り替え
「佐倉市はなぜダム事業に参画するのか。なぜ地下水から受水へ切り替えるのか?」
・千葉県では地盤沈下対策として千葉県環境保全条例に基づき、井戸の本数やくみ上げ量等をせいげんしています。
・佐倉市を含む印旛地域は昭和49年から全域が規制区域に指定され、水道事業については他の水源を確保することが著しく困難な場合のみ、地下水の利用が認められている状況です。従って地下水利用に制限があり、地下水に替わる水源を確保しなければならないことがダム事業に参画する理由です。
「佐倉市が保有する井戸」
・佐倉市水道事業は、現在32本の井戸を保有しています。このうち24本の井戸は、千葉県環境保全条例に基づき、八ッ場ダムや霞ケ浦導水の完成に伴い、他の水源が確保された場合、廃止することを条件に暫定的に許可された井戸となっています。
【佐倉市水道事業の経営状況】
・水道事業は平成13年の料金改定以来、黒字経営を維持し、約50億円の現預金を保有するなど、現状安定経営を維持して いると考えています。
・平成30年度決算では、総務省基準で約4.6億円、より厳しい佐倉市基準においても約1.4億円の純利益を計上しています。(1.4億円は4.6億円から現金の裏付けのない長期前受金戻入3.2億円を差し引いたもの)
・他方、令和2年3月に八ッ場ダムが完成し、このことにより令和2年度より受水量が1日当たり5,000立法メートル増加します。この影響額は受水単価で試算すると約3億円であることから、実質的な利益もなくなる状況であり、経営環境は黒字経営から赤字経営へ移行します。(暫定井戸が継続利用できるといいのですが…)
★令和2年度以降、単年度収支では大幅な赤字体質に転落しますが、他方50億円の現預金を保有し、当面の経営体力は保持していると考えています。ただし、建設事業において上下水道ビジョンに基づく老朽化対策に加え、新たに八ッ場ダムや霞ケ浦導水を見据えた大規模な施設整備が必要となり、現預金の減少幅は大きくなるものと予想されています。
そのため上水道料金について懇話会を開き、方向性について検討が始まっています。
【佐倉市下水道事業の経営状況】
・下水道事業は、平成29年7月に33.1%の値上げを実施し、これにより経営状況は改善しました。現状では安定経営を継続していると考えています。
・平成30年度決算では約6億円の純利益を計上しましたが、より厳しい佐倉市基準でみるとほぼイーブンです。(イーブンとは6億の利益から汚水分の長期前受金戻入6億を差し引いたもので、イーブンは値上げ時の設計通りです)
・他方、令和2年度から県の流域下水道が企業会計に移行したことにより、汚水処理に係る単価が 55/㎥から59.2/㎥に改定されました。これにより流域下水道への維持管理負担金が増加(約0.7億円/年)することから、今後は実質的にイーブンから若干のマイナスを想定します。
・ただし管路等の更新事業について、国の補助制度が点検を重視したものに変更されたことから新たな計画策定が必要となり、この間、事業費を一時的に縮小せざるを得ませんでした。この結果、現預金は値上げ時の想定を大きく上回る状況となっています。(ストックマネジメントの事だと思う)
★令和2年度以降、単年度収支では小幅な赤字体質に転落しますが、現状約16億円の現預金を保有する中で、新たに作成した事業計画の事業費を考慮した上でも、当面の経営体力は保持しているものと考えています。
佐倉市を含む印旛地域7市1町1企業の水道事業は、印旛広域水道から水道用水の供給を受けていますが、印旛広域水道は自前で浄水場を保有していないことから、千葉県企業局から水道施設の使用許可を得て、浄水処理業務を委託することで水道用水を調達しています。このため、印旛広域水道の給水料金には必要経費に加え、企業局へ支払う行政財産使用料や浄水処理業務委託料が含まれることから、千葉県内でも2番目に高く、最も安価な事業体との比較では2倍以上の高い料金となっています。そのため千葉県に対して単価の引き下げ、賃借料や委託料の引き下げについて要望を続けています。