子どもの権利条例と主権者教育

 令和3年度からようやく「子どもの権利条例」制定に向けて動き出します。

自治体には部→課→班と、最小単位の班でそれぞれ仕事内容が決まっています。特に健康こども部は人手がいくらあっても忙しい部署なので、まず初めは「担当を作る」ことから始めなければなりませんでした。さらに今後は「子ども参画」を実現するための担当部署を要請しないとお飾り条例になること間違いなしです(笑)

なぜ子どもの権利条例が必要かと言えば、条例をもとに「子ども」を主体として現行の政策を見直したり、新たに必要な施策を実施するためです。政策の紐付けなくして条例の意味なしです。私は条例制定を前提にすでに政策提言を考えています。

 私は子どもの権利条例制定について質問する時は必ず「子ども参画」と「外遊び」について触れる事にしています。昨今では虐待や子どもの貧困の増加から、子どもを守るという視点で「子どもの権利」に対して理解が進んできたように思いますが、子ども達の遊びの大切さについてはまだまだ理解されてはいないでしょう。子ども達の世界で自身が課題解決をしたりルールを作るといった社会性が育まれ、学校の評価でだけでは計り知れない子ども達の可能性を遊びを通して感じて欲しいなと思っています。

家の前の道路で遊んでいても学校に通報されたり、公園は禁止事項ばかり。身近な自然も少なくなり、平日の子ども達の放課後にも余裕はありません。船橋市では市長と子ども達の話し合いの中で、市内5つの公園で子ども達がボール遊びができるように地域住民とルールを決めるなどの取り組みを行っています。子ども参画と子どもの外遊びを自治体が保障しています。この話を議会でするのは2回目なのですが、答弁は都市部。

都市部長:自治会や地域のボランティア団体などに子ども達専用の利用時間を設定するなどのルールを地域で作り、直接的に街区公園の運営に関わっていただく事ができるような取り組みを検討していく。

まあ進展ではあるかも知れませんがこの主語は「自治会や地域のボランティア団体」ですよね(笑)大人が決めたルールに従うのではなく、自分たちでまちづくりに関わっていく事に意味があるのです。

 次に若者参画についてどのように取り上げようか考えた時に、令和3年度から中学校で主権者教育の充実が求められていることから、その点について質問しました。

徳永:2016 年の参議院選挙から選挙権が 18 歳以上に引き下げ られました。そして、2022 年には 18 歳から成人へと移行していきます。統計では 18 歳 の投票率は高くても、それ以降の投票率は減少傾向であり、多くの 10 代が高校3年生の 間に主権者となり、成人を迎えるということを考えると、高校3年生までに主権者意識 や市民意識、つまり自分が暮らす社会に参画する意識を育むことが必要となってまいり ます。令和3年度から始まる中学校での新学習指導要綱の中でも、主権者教育の充実が 求められており、制度の説明にとどまらない主権者意識の育成が必要です。佐倉市とし てはどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。

 教育長:主権者教育につきましては、子供たち一人一人が主体的に社会参画しようとする態度 を養い、身近な社会や世界へ目を向けながら、未来社会を築いていこうとする重要な取 組です。学校におきましては、社会科を中心に法律や決まり、政治や経済の仕組みを発 達段階に応じて指導しております。加えて、総合的な学習の時間などで子供たちが課題 を設定しながら、問題解決のためにどのような取組が必要なのかなどについて話し合い を行い、社会の形成に主体的に取り組む態度を養うよう指導しております。

徳永:取手市では保健センターと議会事務局の共同企画で、高校生と議員、職員が対話を通して悩みの相談先や相談方法を学んだり、中学校でのリアル模擬議会を実施したりといった対話企画事業に取り組まれています。学校教科としての主権者教育にはある程度の限界はありますけれども、以前西志津小学校の体育館をどこに建てるかの議論の際に、 学校にお願いして子供たちにもアンケートを取ってもらいました。学校側としては、大人の思惑と違ったらどうしようと心配したのですけれど、子ども達は大人が思うよりしっかりと判断ができるものなのです。そういった自分たちの身近な問題に関わってい くこと、選挙権を得る前段階で民主主義を経験していくことが重要であって、子どもの権利条例の基本となる意見の表明とはそういうことではないかと考えます。