子どもの貧困実態調査について

 11月の私の代表質問を通告をもとに振り返りながら、2月議会の準備を進めたいと思います。

 まずは2019年に改正子どもの貧困対策法が成立し、都道府県のみならず、市区町村にも子どもの貧困計画の策定が努力義務となり、佐倉市でも小学5年生と中学2年生を対象に調査が行われており、今後子どもの貧困対策へとつなげていきます。すでに千葉県が15市町村を対象として実態調査を行っていますので、そちらの調査結果を抜粋して見てみます。

 サンプル数4,869件のうち困窮層は337人、周辺層では600人、約20%の方が貧困の実態に当てはまる項目に該当します。

 低所得201人、家計のひっ迫606人、子どもの体験や所有物の欠如が516人。1割の子どもは体験の貧困です。

 まず困窮層として多かったのがやはり「ひとり親世帯」です。

 佐倉市だと1,000世帯弱の方がひとり親です。(私もですが)

 世帯所得の中央値を423 万円円と考えると200万円以下は確実に生活困窮であり、300万円の収入でも生活は楽ではありません。

 ふたり親でも両親が共働きをしている世帯において、両親とも非正規雇用の場合は困窮層の割合が 14.3%です。

1.子どもの学びの状況
困窮層では、学習環境が整っておらず、授業が分からないと感じる割合が高い。
 学校の授業がわからないと感じる子どもの割合(「あまりわからない」「わからないことが多い」「ほとんどわからない」の合計)は、一般層では小学生 8.0%、中学生 15.3%であるのに対し、困窮層では小学生 22.9%、中学生 37.0%にのぼる。

→佐倉市内では5つの団体が8ヶ所で学習支援活動を行っていますが、必要な児童生徒に情報が届いているとは言えません。学校が必要な児童生徒を把握していても特定の子にだけ勧めることができず、児童家庭課が把握してる子にだけ勧められているといった状況でしょうか。今後はせめて今回の調査対象となった小学5年生と中学2年生には全員にお知らせすべきかと思います。

2.子ども及び保護者の健康・自己肯定感
困窮層では子ども、保護者ともに自己肯定感が低い傾向にあり、健康状態に問題を抱えている保護者の割合が高い。

「がんばれば報われる・自分は価値がある・目標や計画は達成できる・色々な人と話したい・今後の人生が楽しみ・自分のことが好き」特に今後の人生が楽しみ・自分のことが好きと「思わない」保護者の割合が高く、逆に不安や孤独を感じる割合が低かった。

困窮層では「自分は価値がある」「自分のことが好き」「将来が楽しみ」と思わない児童生徒が多かった。

3.保護者のこれまでの経験
困窮層では15歳頃の生活が苦しかった保護者の割合が高く、成人前に両親の離婚や親からの暴力を経験した割合も高い。
 15 歳頃の暮らし向きが「やや苦しかった」「大変苦しかった」と回答した保護者の割合は、一般層に比べて困窮層の方が高い。
成人前の体験をみると、一般層に比べて困窮層では「両親が離婚した」「親から暴力を振るわれた」という割合が高い。

4.経済的支援制度の利用状況
困窮層では就学援助費を利用したことがある保護者の割合が 30%程度であり、制度を知らない保護者の割合も高い
 就学援助費の利用状況をみると、「現在利用している」「利用したことがある」を合わせた割合は、困窮層で約 30%、周辺層で約 20%となっている。小学生保護者の困窮層では、「利用の仕方がわからなかった」「制度等について全く知らなかった」という割合がそれぞれ約8%である。

5.子育て支援制度・相談機関の利用状況
生活困難度によらず、子どもに関する支援制度等の情報の受け取りや、悩みの相談先の中心は学校となっている一方で、困窮層では学校に「相談したかったが抵抗感があった」と回答した割合が高い。

 今後の情報の受け取り方法として、困窮層では一般層に比べて「SNS」を挙げる割合が高い。世帯タイプ別では、学校などに相談をしたかったが抵抗感があったと回答した保護者の割合が、ふたり親世帯に比べてひとり親世帯の方が高い。

→保育園や幼稚園、学校が保護者の相談先となることは多いが、生活困窮など内容が深刻なほど先生に相談するには抵抗があるのではないかと思います。先生の次にではないですが、スクールカウンセラーやSSWには相談したかったが抵抗感があったという結果が特徴的です。SSWは福祉との窓口でもありますから、ここの抵抗感は取り除く必要があります。ただ初対面の人に一から相談するのって大変ですよね。たぶんいろんな要因が積み重なってきてると思うので。

 私は妊娠した時の面談から担当保健師をつけることを提案しています。同じ担当だからこそ話しやすい局面が必ずくると思います。乳幼児期にハイリスクの方には頻繁なコンタクトが必要ですが、就学して子育ての悩みから経済的な悩みなどに移行していく場合は担当保健師が同席してSSWに引き継ぐなどして良好な関係作りをサポートすることも大事ではないでしょうか。