子ども基本法と子どもの権利条例 幼保小の連携について
子どもに関する虐待やいじめ、少年非行等、様々な問題を解決するためには、まず問題の中心人物である子ども自身の意見を聞き、その意見を尊重する必要があります。子どもの意見の尊重の概念には、これまで多くの誤解がありましたが、野田市での小学4年生の女の子の虐待死事件では、子どもが学校へ助けを訴える手紙を虐待当事者の父親に渡してしまったことに代表されるように、子どもに関わる行政機関の中でさえ子どもの権利に対する認識が徹底されていない状況です。
子どもの権利条例の策定については、子どもたちの参加や市民参加が不可欠です。
条例づくりにおける庁内体制などを考えると時間がかかるプロジェクトであると以前申し上げました。子ども基本法というのは、子どもの権利を保障する法律の仮称です。行政の立場では、国の基本法の制定の動向を見てからということになるかもしれませんが、大事なのは子どもから大人まで全ての人が子どもの権利条約を学び、理解し、毎日の生活の中で権利を守れるようにすること。ふだんから子どもに接する人たちには、特に子どもには大人と同じように権利があり、子どもには特別な権利もあることをきちんと理解できるようにすることです。
こども政策課を筆頭に、こども保育課、こども家庭課、母子保健課、障害福祉課、教育総務課、指導課、学務課など、子どもに関わる方々、職員も含め、保護者を巻き込んだ勉強会、そういったことを重ねていくことで職員の中にも知見が積み重なり、あるべき条例の制定方法、あるべき子どもの権利条例の姿が見えるのではないかと思います。子ども基本法が策定されてからでは、文言で理解できても、その概念を私たち担い手が理解できていなければ子供を取り巻く社会が変わることは難しいでしょう。
行政関係者の他に、保育園、こども園、幼稚園の園長先生方といった、子どもたちが初めて社会に出る環境を担っていらっしゃる先生方に、子どもの権利条約についての理解を深めていただくための勉強会を定期的に行い、保育に反映することも大事です。いずれは横連携で公開保育なども行っていくことで、保育の質を高めていければと期待しています。
小学校はなかなか門戸が固いですが、佐倉市では小学校の先生が保育園を訪問する幼保小の連携協定事業が少しずつですが始まりましたので、ここに子どもの権利条約という共通項目があることで、幼稚園、保育園等での育ちが小学校でどのような力になるのかを双方で確認し合い、発達や学びの連続性を保障していくことにつながるのではないかと思っています。就学期における子どもの権利条約の理解も一層重要となるため、幼保小の連携事業として新1年生の先生や新任の先生を対象とした子どもの権利条約に関する研修会の実施を求めました。