妊娠期からの子育て支援

2月から妊婦面談時に5万円、出産後の訪問面談後に5万円の「出産・子育て応援交付金」給付事業が始まります。

佐倉市では希望者に8ヶ月面談も行う予定です。子育て費用の負担を軽減する経済的支援であるとともに、10万円を2回に分けて配布する際に相談を受け、継続的に子育てを支える伴走型支援に繋げることも重要な目的となっているためです。

私はかねてより父親を念頭に置いた子育てに関わるパートナーとの「家族面談」を提案しています。

子育て世代包括支援センターの開設と妊婦面談は、フィンランドの「ネウボラ」を取り入れたもので、妊娠期からの子育ての不安や養育者のリスクに伴う虐待の未然防止のための相談体制です。

令和3年度の虐待件数は335件。継続案件を含めると549件です。虐待件数のうち実父と実母の数、それぞれが全体の半数近くを占めています。

現在行われている面談がなぜ母親だけなのか?

そもそも「母子保健」という言葉が適切なのかも疑問ですが、女性の母体の安全のためであれば母子保健も納得できますが、子育てという意味での母子保健だと違和感があります。父親も子育てに参加するわけですから。

厚労省の子育て世代包括支援センター業務ガイドラインを見ると、把握される情報は母親だけに着目したものではなく、親子関係、夫婦カップル関係、兄弟関係、経済状況、親の精神状態、子供の特性等の背景も考慮し、家族全体の問題として捉えるために必要な情報に及ぶ。また、妊産婦、乳幼児等の健康状態や不安等だけでなく、その家庭の強みやリスクの発見のためにも、父親をはじめとした保護者、祖父母の状況、互いの関係性などを把握することも重要であるとあります。

おそらく現在の妊婦面談も、特に問題なく母子手帳を受け取るだけの方にとってはたいした情報提供もないので、父親にわざわざ有休をとって来てもらう程のものが提供できないというのが現状なのでしょう。そのため「保育園の下見」を兼ねて母親以外の養育者にも参加してもらうような事を考えてくれているようです。

私は男性の方にも保健師さんと顔見知りになって欲しいんですね。できれば母子手帳に担当保健師を決めて、電話番号を明記する。その保健師が継続的にその家族の相談を受けていくことで信頼関係が生まれて些細なことでも相談しやすくなると思うんです。母親のリスクを父親が保健師に相談することもたやすくなるじゃないですか。本来のネウボラの意義はそこなんですが、日本では一番大事な部分が欠けているんですよね。なぜでしょうか。平日の日中しか相談は受け付けてないし、高齢者のほうは地域包括支援センターで日曜日も相談受け付けてますよね。広報公聴委員会で1,391人の子育て世代の方からアンケートの回答をいただきましたが、行政に相談しないという方が結構多く、理由は「聞くだけで欲しい回答が得られない」との声も多かったです。

せめてスマホのアプリで欲しい情報を入力すると適切なところに繋がるといったシステムは考えていくべきでしょう。